うつ病による物忘れは治る?記憶力低下の原因と対策

うつ病による記憶力低下の症状

うつ病は、本人の性格や心の問題ではなく、脳の働きや機能が低下したために様々な精神的・身体的症状を引き起こす病気です。そもそも人の脳は億単位の神経細胞が密接に絡み合い機能しているため、うつ病をはじめ様々な精神疾患に関するメカニズムはまだ明らかにされていないのが現状です。

うつ病になると脳の伝達機能がスムーズに行われなくなるため、脳の機能低下が引き起こされます。例えば、何かを頼まれたり、仕事を指示されてもすぐに忘れてしまうなど記憶力の低下や、読書や自分の考えを論理的にまとめて発言することが難しくなり、些細なことでも決断できなくなるなど思考回路の機能も著しく低下します。

また、物事に集中できなくなり注意散漫になりがちなので、他人と会話をしていても理解が乏しく、コミュニケーションがスムーズにできなくなるのもうつ病の特有の症状です。このため、仕事やプライベートにおいても様々なトラブルを抱えやすく、日常生活に支障を来してしまうほど深刻なケースも多々生じます。

うつ病は特有の症状「物忘れ」は、一見認知症とも似ており、間違えられやすいのですが、うつ病による記憶力の低下は、脳の機能低下が引き起こすものなので、適切な治療を受けることで回復も可能です。一方、認知症の場合、今のところ効果的な治療法が確立されていないのが現状です。

このため、上記のような症状に心当たりがある方は早めに病院で診察を受け、病名や病状をできるだけ早い段階で見極めることが重要です。

うつ病で物忘れが激しくなるのはなぜ?

上記にも紹介しましたが、うつ病による物忘れは脳の機能低下が引き起こす思考力の低下によるものです。うつ病発症の主な原因の1つはストレスです。例えば、イジメや仕事上のトラブル、育児・介護疲れ、人間関係のトラブルなど慢性的に強いストレスを受け続けると、感情を司る「偏桃体」が刺激を受け、偏桃体から脳に異常な指令を出すようになり、ホルモンバランスや自律神経失調に乱れが生じ、結果うつ病が発症されます。また、ストレスを過剰に感じると大量のビタミンやミネラルが過剰に消費されるので、栄養不足に陥りやすく要注意です。

また、生活習慣の乱れもうつ病を引き起こす引き金となります。例えば、暴飲暴食や栄養不足で偏った食生活を続けていると、脳内物質・セロトニンなどの合成ができなくなります。さらにビタミンやミネラルが不足することでも脳内物質の不足と同様にイライラや憂鬱な感情を引き起こします。

うつ病特有の症状、ひどい物忘れや集中力低下は、上記のようなストレスや乱れた日常生活が原因で引き起こされる海馬の縮小が原因と考えられています。海馬は記憶を司り、偏桃体は不安や悲しみなどの感情に深く関わる部位です。このため、うつ病が長引くほど海馬の縮小が進み、記憶力の低下も進行します。ただ、最近の研究では抗うつ薬によって海馬神経新生作用もあると言われており、薬物治療による回復も充分に期待できます。

うつ病による物忘れは治る?対策まとめ

脳の劣化が原因で発症する認知症とは違い、うつ病による物忘れは、うつ病の改善に伴い改善させることが可能です。そもそもうつ病は認知症のように脳が破壊されていく訳ではなく、神経伝達物質が減少したことが原因なので、神経伝達物質がきちんと出るように治療を行うことで、当然物忘れなどの脳機能の低下も治ります。

このため、一刻も早く病院で診断を受け、うつ病と判明したら焦らずに適切な治療に取り組んでいくことが重要です。具体的な対策法を以下に紹介します。

まずは病院で受診 適切な薬物治療+精神療法(カウンセリング)

「鬱かもしれない」と思ったら、まずは病院で受診しましょう。鬱は適切な治療によって必ず治るので、信頼できる病院や医師を見つけ、医師の指示を守って適切な薬物治療を行いましょう。薬物治療と並行して、心理療法(カウンセリング)も効果的です。

日常生活の見直し ストレス・疲労を溜めない

鬱の原因は脳の伝達異常によるものなので、心身共にストレスや疲労が溜まった状態がこの病気の症状です。このため、まずは心と体のストレスや疲労を取り除き、質のよい睡眠・食事・運動を取り心身ともにゆっくりと休めてあげましょう。

闘病中の姿勢 自分を否定せず、常にポジティブに!

闘病中は自分自身とゆっくり向き合いましょう。鬱の人は、自分自身に否定的な傾向がありますが、決して自己非難することなく、周囲の親しい人や医師、カウンセラーの力を借りつつ、自分自身の存在・行動を認め、ポジティブに行動することが大切です。

症状が回復してきたら、医師に相談して徐々に減薬するとよいでしょう。また、社会復帰向けて、友達や家族など誰かと一緒に外に出かけたり、コミュニケーションの場を増やしていくことも大切です。ただ、薬に関しては減らされた後も医師の指示を守って継続服用するよう心掛けましょう。